日常生活での
お悩みQ&A

2024年10月のトピックスニュース
『アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬の新しい治療薬の紹介』

アトピー性皮膚炎と、尋常性乾癬の2つの適用を有する1日1回塗布の外用薬として、商品名ブイタマークリームが10月より発売されます。
有効成分のタピナロフは、リガンド依存的な転写因子の芳香族炭化水素受容体(AhR)を活性化させることにより、種々の遺伝子発現を調節します。この作用機序に基づいて、炎症性サイトカインを低下させ、抗酸化分子の発現を誘導して、皮膚の炎症を抑制するとともに、皮膚バリア機能を改善します。
ブイタマーは、炎症性の皮膚疾患に対して古くより使われていたタール類と同様の作用機序を持ち、単一の分子として見出された治療用AhR調整薬として、アトピー性皮膚炎や尋常性乾癬の治療に効果が期待されています。
詳しくは皮膚科でご相談ください。

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円形脱毛症について
  • 円形脱毛症とはどんな病気ですか?
    • コイン様に円形に脱毛するのが基本ですが、全体に広範囲に脱毛することもあります。場合によっては全身の毛が脱落する型もあります。2、3個までの脱毛なら1年以内に治癒しますが、多発するときは繰り返すことが多くあります。初めから頭髪全体の脱毛が起こることもあり、広範囲に脱毛するものほど治りにくい傾向があります。
  • ストレスが原因でしょうか?
    • 昔からストレスによって起こると言われていますが、実際はまだ因果関係ははっきりとしていません。約2割の患者さんで精神的ストレスをきっかけに発症したとする報告がありますが、8割の人にはそのようなことは認められていません。何年も長く広範囲な脱毛が続くときなどは、なりやすい遺伝的素質が問題でストレスはほとんど関係ないとされています。
  • どのような治療をするのでしょうか?
    • 2、3個ほどの円形脱毛症では1年以内に自然と治ることがほとんどです。治療法としてはステロイドの外用や、毛根への血流を良くする育毛剤を使うことが多いです。当院ではドライアイスをその部分に当て、毛根を刺激する方法も行っています。その他局所免疫療法などがあり、詳しい治療法は皮膚科専門医で説明を受けてください。
  • TVなどで宣伝しているAGAとは何でしょ うか?
    • 円形脱毛所は男女関係なく起こる病気ですが、AGAとは男性型脱毛症を指し、男性ホルモンの影響によって起こる脱毛症です。加齢により額の生え際が後退したり、頭頂部の髪が薄くなる進行性の脱毛症です。現在AGAの治療は、男性ホルモンへ転換する酵素を阻害する飲み薬を使うことがほとんどです。1日1錠を内服するだけでよいのですが、保険が効かない薬なので、価格も含め皮膚科専門医で相談するようにしてください。
水イボについて
  • 水イボとはどんな病気ですか?
    • 水イボは、正式には伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)といわれ、伝染性軟属腫ウイルスの感染により起こります。水イボが最も多くみられるのは小学校低学年くらいまでの小さな子どもで、大人にはあまりみられません。これはウイルスに対する抵抗力のためと考えられます。水イボは皮膚の接触で感染するので、湿疹やかゆみがあると、掻いてその周辺に広がることがあります。以前よりプールで感染するとよくいわれていますが、接触の機会があればどこでもうつる可能性はあります。
  • どんな症状ですか?
    • 主に体や手足に、みずみずしい光沢があり、中央がへこんだ小さな盛り上がりが多発します。つぶすと、白色半透明のお粥のような内容物が出てきます。この内容物が自分や他人の皮膚に感染を起こします。
  • 水イボはとらないといけないのでしょうか?
    • 水イボは放置していてもいずれは自然と治る病気です。また、皮膚以外に悪い影響を与えることはありません。昔から水イボを治療すべきかどうか議論になっています。治療の必要がないとする理由は、大人になるまで残ることはなく、いずれ自然となくなるからです。とった方がよいという理由は、①無数に数が増える例があること、②他人に感染させる可能性があり、公衆衛生上問題があること、などがあります。
  • とる場合はどのようにするのですか?
    • 先の細いピンセットで内容物をつぶして出します。普通は痛みと出血を伴う治療になります。現在は痛み止めのテープや塗り薬を前もって貼ったりして、できるだけ痛みが少ないようにできますが、完全に痛みをなくすことは難しいかもしれません。また、お子さんを押さえつけてとるようになりますから、それが恐怖として思う可能性があります。
  • 当院の考え方は?
    • 以前は積極的にとっていましたが、痛みを伴うことと、数が多いと数回に分けて治療する必要があります。現在の考え方は、基本的にできるだけとらずに様子をみて、自然に治るのを待つようにしています。かゆみがあれば外用剤を使います。ご両親と本人の希望があればとるようにしています。プールも入ってよいと指導しています。
ミズムシについて
  • ミズムシはどういう病気ですか?
    • ミズムシの原因は白癬菌(はくせんきん)というカビの仲間です。菌にとって生息していくには適度な温度と湿度が必要ですので、衣服で覆われて蒸れやすい場所に感染しやすくなります。一般にミズムシとは足に生じるものを言いますが、爪や股部、体のどの部位でも発症する可能性があります。
  • 足のミズムシにはどんな症状が出ますか?
    • 基本的には3つの型があります。最も多いのは趾間びらん型で、趾の間が白くふやけ、じくじくと湿ったり時には乾燥します。次に多くみられるのは小水疱型といわれるもので、土踏まずや足の側縁に小さな水疱が多発します。夏に急に悪化し、冬には自然に症状は改善します。3番目は角質増殖型と呼ばれるもので、かかとなど足の裏の角質が厚くなり、カサカサの状態になります。時にひび割れ、あかぎれを生じ痛みを伴うことがあります。これらの3つの型は重複したり、互いに移行することもあります。
  • ミズムシの治療は?
    • 治療は抗白癬菌薬の外用を行います。市販されている薬も多数ありますが、病院でしか使えない薬もあります。また市販薬では時々カブレを起こすことがあるので、症状がひどくなる時は皮膚科を受診して下さい。 ミズムシは治療を開始してしばらくするとかゆみなどの自覚症状が消失します。患者さんはこの時に治癒したと早合点して治療を中止してしまいがちですが、白癬菌は残っています。菌をなくすためには症状が改善してから、さらに最低半年は外用を続けることが大事です。
  • 爪のミズムシの症状と治療は?
    • 爪のミズムシは爪が白色~黄白色に混濁し、爪甲が厚くなります。自覚症状がないので、ミズムシと思わないで放置していることが多くあります。爪ミズムシの治療には飲み薬を使うことがあります。テルビナフィンとイトラコナゾールの2種類ありますが、テルビナフィンは肝機能障害を起こす可能性があるので、定期的な肝機能検査が義務づけられています。イトラコナゾールは一緒に飲めない薬が多数あるので、内服を希望される患者さんは皮膚科の主治医とよく相談して下さい。
  • 日常生活で気をつけることは?
    • まず足をよく洗い、清潔を保ち、乾燥させることです。白癬菌の感染力はそれほど強くありませんが、スリッパ、バスタオル、風呂場の足ふきマットは自分専用のものを使って下さい。素足で廊下を歩いたり、風呂場の中で感染することはそれほど多くありません。足・爪ミズムシと似た症状でまったく違う皮膚疾患があり、治療法も変わってくるので、自分で判断せず必ず皮膚科専門医で診てもらうようにして下さい。
皮膚がん~悪性黒色腫(メラノーマ) について~
  • 皮膚がんにはどのようなものがありますか?
    • 皮膚のがんには数種類のものがあり、基底細胞がん、有棘細胞がん、Paget病、悪性リンパ腫、悪性黒色腫などがあります。比較的予後の良いものから、非常に予後の悪いものまでさまざまありますが、悪性黒色腫はあらゆる腫瘍のなかで最も転移しやすく、悪性度の高い腫瘍です。今回は悪性黒色腫(メラノーマ:いわゆるホクロのがん)について説明します。
  • 悪性黒色腫とはどのようながんですか?
    • 臨床的な特徴は、①大型の病変:診断の時にはほとんどの場合、7mmを超え、10mm以上のことも多い。②不規則な形:左右非対称性の不規則な形を呈し、ギザギザの凹凸を伴うことが多い。③多彩な色調:黒~褐色の色が主体ですが、淡い褐色から濃い黒色まで濃淡差が無秩序に認められます。④不均一な境界:境界がはっきりせず、部分的には黒褐色が周囲に染み出したような境界不鮮明がみられます。⑤経過:盛り上がりのない色素斑として成人以後になって気づかれることが多く、当初は変化が目立ちませんが、比較的短期間に拡大・盛り上がり・結節性となり、さらに進行すると潰瘍も生じてきます。
  • 好発部位と原因は何ですか?
    • 日本人の場合以前より、足底と爪に発症することが多いと言われていますが、体のどの部分にも発症します。とくに外陰部に発症した場合、発見が遅れる可能性があります。原因はまだ不明ですが、メラノーマに限らず皮膚がん全般に言えることは、高齢化とオゾン層の破壊による紫外線の影響はあると思います。今後、皮膚がん自体増加すると予想されています。
  • 診断はどのように行いますか?
    • ほとんどの場合、皮膚科専門医であれば視診で診断は可能です。確定するには組織を取って、病理組織診断で行います。
  • 治療は?
    • 基本的には手術です。その他抗癌剤も進歩していますし、今後分子標的治療や、遺伝子治療も期待されています。
  • 気をつけることは何かありますか?
    • 日頃できることは、強い紫外線に長時間当たらないようにすることです。ホクロからがんに変わるとよく言われますが、実際にはそうなることは稀です。皮膚がんは当初よりがんとして発生することが多いです。それでも絶対とは言い切れないので、心配なホクロは皮膚科専門医で診てもらうことを勧めます。
アトピー性皮膚炎について
  • アトピー性皮膚炎はどんな病気ですか?
    • アトピー性皮膚炎とはかゆみの強い湿疹が、良くなったり悪くなったりを繰り返す病気です。患者さんの多くはアトピー素因をもつとされています。アトピー素因とは、「①家族歴・既往歴に(気管支喘息、アレルギー性鼻炎・結膜炎、アトピー性皮膚炎のうちのいずれか、あるいは複数の病気)がある、または②IgE(アイジー・イー)抗体(アレルギー反応に関係する抗体)を生じやすい素因」 と説明されています。  アトピー性皮膚炎は乳幼児期に発症することが多いですが、最近は成人型のアトピー性皮膚炎も増えています。アトピー性皮膚炎は悪化と改善を繰り返す特徴がありますが、適切な治療をしっかりと行えば、多くの場合かゆみと湿疹を抑えることができる病気です。
  • アトピー性皮膚炎の原因は何ですか?
    • 皮膚のバリア機能の低下と、アトピー素因(アレルギー反応を起こしやすい 体質)を原因とすることが大半です。アトピー性皮膚炎の患者さんは、皮膚のバ リア機能を保つために重要な水分が失われやすく(ドライスキン)、バリア機能 が低下していることが分かっています。そのため健康な皮膚であれば反応しない 外部からの刺激やアレルゲンに対しても、皮膚の内側が過剰に反応を起こし湿疹 やかゆみが現れます。最近の研究から、アトピー性皮膚炎患者さんの約2~3割 で「フィラグリン」という皮膚のバリア形成に重要なタンパクの遺伝子に変異が あることが分かり、皮膚のバリア機能低下の原因の1つとして注目を集めていま す。フィラグリン遺伝子の変異の発見は、今後のアトピー性皮膚炎治療の新しい 進展につながることが期待されています。
  • どんな検査がありますか?
    • アトピー性皮膚炎の診断の基本は、視診と問診です。検査は、重症度や病気 の進行具合の参考として位置づけられています。日本皮膚科学会では、「①かゆ み、②特徴的な皮疹(皮膚が赤くなる、乾燥する、ジクジクする、硬くなるなど) と、皮疹の分布(顔面、手足の関節部など、左右対称にできることが多い)、③ 慢性に経過して反復する、の3つを満たすものをアトピー性皮膚炎と診断する」 としています。  主な血液検査ではIgE(アイジー・イー):アレルギー反応に関係する抗体で、 アトピー性皮膚炎患者さんの多くが高い数値を示します。卵やダニ、ハウスダス トなど特定のアレルゲンに対する特異的IgEと、IgE全体の量を表す(アレルギー 体質)非特異的IgEが測定できます。
  • 治療法は?
    • アトピー性皮膚炎の治療で最も大切なことは、①保湿により皮膚のバリア機能を低下させないこと、②塗り薬で炎症とかゆみを抑えることです。③かゆみが強いときは、飲み薬(抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬)を併用します。具体的にはまず、炎症やかゆみを抑えるためにステロイド外用薬を用います。ステロイド外用薬は決して恐ろしい薬ではなく、皮膚科専門医の指導のもとで使えば大丈夫です。顔など薬の吸収が良く、ステロイド外用を長く使用できない部位には、現在は免疫抑制剤の塗り薬が有効です。
  • 保湿はどうすればよいですか?
    • 皮膚の水分が低下し、ドライスキンになっているアトピー性皮膚炎では、保湿が大変重要になります。保湿はアトピー性皮膚炎の治療を順調にするだけでなく、予防効果もあるので、毎日欠かさず行って下さい。保湿剤には軟膏、クリーム、ローションなど様々な剤形のものがあるので、塗りごこちや効果など、自分にあったものを使って下さい。保湿剤は1日に何回塗っても大丈夫です。
  • 日常生活では何に気をつければよいですか?
    • ①乳児期の食物アレルギーに伴って乳児アトピー性皮膚炎が発症することがありますが、極端な食事制限はできるだけ避け、専門医の指導を受けるようにして下さい。子どものアトピー性皮膚炎は思春期頃に自然とよくなることも多くあります。
      ②発汗はアトピー性皮膚炎の重要な悪化因子ですが、適度な入浴や運動で発汗を促すことは必要とされています。発汗後シャワーできれいに洗い流すことが症状の改善につながります。
      ③成人のアトピー性皮膚炎ではダニやほこり、花粉、ペットの毛などがアレルゲンとなることが多くあります。完全に除去することは困難ですが、こまめな掃除などでできるだけ避けるようにして下さい。
      ④精神的ストレスも悪化の要因となります。ストレスも完全に取り除くことは難しいので、どのようにうまく付き合っていけるか工夫が必要です。
      ⑤香辛料、刺激物、アルコールはアトピー性皮膚炎の原因ではないですが、これらの摂取でかゆみが強くなることがあるので、取り過ぎには気をつけて下さい。 アトピー性皮膚炎は強いかゆみが特徴ですが、引っ掻いてしまうと皮膚のバリア機能や炎症の悪化をまねき、さらにかゆみが増すという悪循環になってしまいます。この悪循環を断ち切るためにかゆみを抑える治療、入浴などで皮膚を清潔に保つこと、保湿をしっかり行うことが大事です。
ウオノメ、タコについて
  • ウオノメとタコはどう違うのですか?
    • ウオノメとタコはともに足底などの角質が部分的に厚くなったものですが、ウオノメはその厚みが皮膚の内部に向かった円錐状をしています。そのため圧迫が加わると痛みがあります。ちょうど、角質にできたクサビが皮膚に刺さった状態です。周囲に炎症による赤みがあることがあります。タコは、皮膚表面から外に向かって扁平に盛り上がった状態で厚くなります。そのため、タコの場合は痛みがありません。
  • ウオノメとタコはどうしてできるのですか?
    • ウオノメもタコも、皮膚の一番表面にある角質が部分的に異常に厚くなった 状態で、長期間の物理的な刺激(きゅうくつなパンプスなど)が加わることによ りできます。外からの物理的な刺激から皮膚を守るための反応性の変化で厚くなります。したがって、できやすい場所はよく力の加わる足底・足の指の間などで す。ウオノメは足の骨の変形や突出によりできることもあります。タコは生活習慣や職業とも関係があり、正座をよくする人の膝、足背にできる座りダコ、学生や事務員の指のペンダコなどがあります。
  • ウオノメとタコの治療法は?
    • 圧迫や長期間の摩擦が原因になっているので、それらの刺激をまず取り除き ます。ウオノメは皮膚軟化剤(サリチル酸ワセリンなど)を塗ったり、スピール 膏を5日間ほど貼って厚くなった部分を柔らかくする方法がありますが、時間が かかりますし、足の指の間などは貼りにくいことが多くあります。一番確実なの はカミソリで傷つけないようにうまく削り取ることです。自分で難しい場合は、 皮膚科で行っています。タコの場合は、痛みがなければ特に治療をする必要はありません。それでも気になる場合は、やはりカミソリで表面を削ります。
  • ウオノメとタコの予防法は?
    • ウオノメは足に合わない靴が原因のことが最も多いので、まず自分の足にあっ た靴を選ぶようにします。靴の中の異物が原因のこともあります。また、爪の生 え方が悪い場合や、足の指の関節の突出や変形によることもあります。この場合 は整形外科で相談することも必要となります。タコは職業や生活習慣に影響され るため、できる限り物理的な刺激を避ける工夫をします。しかしどちらも一度で きてしまうと、カミソリで削っても時間が経つと再びなってしまうことが多く、 完治は困難です。靴を履くときにバンドエイドやガーゼでその部分を覆い、クッション代わりになるものを使用するよう指導していますが、それでもまたなった ときは、根気よくカミソリで削るようにしています。
  • ウオノメやタコと間違えやすい皮膚病は何ですか?
    • 一番間違えやすいのはウイルス性のイボです。足底や足の指、手の指にできることが多く、普通は痛みがありません。イボの場合は治療法が違うので、どちらかわからないときは皮膚科専門医を受診されることを勧めます。
皮膚の乾燥による痒みについて
  • 皮膚の乾燥による痒みはどうして起こるのですか?
    • 皮脂の分泌の低下や角質の中の水分含有の低下などにより、「皮膚の老化」が進行し、皮膚がカサカサした(粉をふいたような)状態になります。冬になると空気が乾燥し、またエアコンの影響で室内でも乾燥に拍車をかけています。このような状態では発疹がなくても体中に痒みが起こります。これを老人性乾皮症、 または皮脂欠乏性湿疹といいます。痒くなる場所はスネや腰回りに生じることが多いです。
  • 原因は何でしょうか?
    • 1.季節(冬期)によるもの、
      2.年齢によ皮膚自体の乾燥の程度、
      3.下着や靴下のゴム、衣類による皮膚への刺激、
      4.痒くて掻くことによる湿疹の悪化、
      5.その他糖尿病や肝臓・腎臓などの病気による影響などがあります。
  • 日常生活の注意はどうすればよいですか?
    • 予防が一番大切になります。冬など空気が乾燥する季節は加湿器を使って室内の湿度を保ちます。入浴時にはぬるま湯で長湯をしないようにし、体を洗うときは刺激の少ない石鹸で手や柔らかい布、スポンジで軽く洗います。気持ちがいいからといって、ナイロンタオルやブラシなどの硬いものは絶対使用しないで下 さい。入浴剤は必ず保湿剤の入っているものを使い、イオウが含まれているものは避けた方がよいでしょう。食事は直接関係ありませんが、アルコールや香辛料は痒みを増すことがあるので、控えるようにして下さい。
  • スキンケアはどのようにすればよいですか?
    • 皮膚の乾燥を防ぐために、スキンケアは非常に重要です。保湿性のある天然の皮脂成分に近いクリーム、ボディーローションあるいはオイルなどを体全体に塗って下さい。現在は尿素軟膏や、ヘパリン類似物質の保湿剤が主体となっています。具体的には、入浴後に急速に体から水分が逃れていくので、入浴後10分以 内に保湿剤をしっかり塗るのが理想とされています。
  • どんな治療をするのですか?
    • 乾燥だけのときは保湿剤をしっかり塗るのがまず一番大切です。痒みのため湿疹ができていれば、ステロイド外用剤と併用します。また、夜間痒みのため睡眠が妨げられるような場合は、寝る前に抗ヒスタミン剤などの痒み止めの内服を使う場合もあります。毎年冬になると同様の乾燥、痒みが起こることが多いので, 自分の皮膚の状態をしっかりと把握し、湿疹や痒みがひどくなる前に、しっかりとスキンケアを行って予防することが大事です。
脂漏性(しろうせい)湿疹について
  • 脂漏性湿疹とはどういう病気ですか?
    • 頭皮・髪の生え際・耳介の前後・鼻の周り・眉間など、あぶらを出す皮脂腺の豊富な皮膚を脂漏部位といいます。脂漏性湿疹とは脂漏部位に、比較的はっきりとした境界をもつ赤く鮮明で、表面がカサカサした発疹を特徴とする湿疹です。かゆみは個人差がありますが、強いかゆみはそれほど多くありません。脂漏性湿 疹には乳児に発症するものと成人に発症するものとがあります。
  • 乳児の脂漏性湿疹はどういう病気ですか?
    • 生後2~3週ごろから、顔の赤みとガサガサ、頭皮は黄色いカサブタが出現することがあります。生後1年後ぐらいに自然と軽快することが多いですが、その間、アトピー性皮膚炎との区別が困難です。アトピー性皮膚炎は生後2~3歳ごろまで、かゆみを伴った湿疹をよくなったり悪くなったりと繰り返すことが特徴の ひとつです。
  • 成人の脂漏性湿疹はどんな病気ですか?
    • 主として中年以降に発症しますが、早い人では20歳代から症状が現れます。頭皮では赤みとフケが目立ちます。髪の生え際、耳介前後、鼻の周り(両側の鼻翼)、鼻唇溝(鼻と口唇の間)、眉間などに赤みとガサガサが出現します。場合によっては胸や上背部などに湿疹が出ることもあります。
  • 原因は何でしょうか?
    • 乳児では皮脂の分泌が多く出るためといわれています。成人では現在マラセチアという真菌によって起こると考えられています。この菌は脂漏部位に多く存在しますが、どんな人の皮膚(特に毛穴)にも寄生している菌なので、他人にうつることはありません。これまでまったく症状がなかったのに、ある日突然現れることが多く、なぜそうなるかはまだはっきりと分かっていません。
  • どんな治療をするのですか?
    • 乳児では、頭皮の黄色いカサブタが厚いときはオリーブ油などを脱脂綿につけて拭きとります。顔には弱いステロイドの塗り薬を使います。湿疹が良くなれば外用を一時中止し、経過をみます。成人ではマラセチア原因説に基づいて、抗真菌剤やステロイドの外用剤を使います。成人の場合、慢性で完治しにくいことが多く、外用中は湿疹は軽快しますが、外用を止め時間が経つと再発する場合が多くあります。
  • 日常生活の注意は何がありますか?
    • 洗顔、洗髪は毎日行ってかまいませんが、洗い過ぎはよくありません。石鹸やシャンプーは低刺激性のものがよいでしょう。現在は脂漏性湿疹用のシャンプーやリンスも市販されています。この湿疹は皮膚の血流と温度に影響するとされています。秋から冬にかけて低温と低湿度は湿疹を悪化させるといわれています。また、十分な休息、睡眠、ストレスを避けることも大切です。
口唇ヘルペスについて
  • 口唇ヘルペスはどんな病気ですか?
    • 唇やその周りにピリピリ、チクチクするような違和感やかゆみが生じた後、軽い痛みを伴う水ぶくれができる病気です。 疲れたときや熱が出たときなど、免疫が低下しているときに発症します。再発する可能性があり、その回数は数年に1回という人から、1年に数回出るという人までさまざまです。 初めて症状が出たときには、水ぶくれや痛みが強く出ることがあります。再発のときには水ぶくれは少なくなり、症状が出る範囲も狭くなります。
  • 原因は何ですか?
    • 単純ヘルペスウイルスというウイルに感染することで起きます。症状が出ている人の水ぶくれ、唾液などに接触することで感染します。水ぶくれの中にはウイルスがたくさん存在するため、注意が必要です。小さなお子さんがいる場合、ほおずりなどで感染することがあるので気をつけて下さい。
  • どうして再発するのですか?
    • 単純ヘルペスウイルスは一度感染すると、生涯にわたって神経に潜伏します。健康なときは免疫によって抑えられているため症状は出ません。しかし、発熱、疲労、ストレス、強い紫外線などで免疫が低下するとウイルスが活動しはじめ症状が出てきます。
  • どんな治療をするのですか?
    • ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬の飲み薬や塗り薬を使います。この薬はウイルスが増殖しているときに効果を発揮するので、症状が出たらできるだけ早く使い始めることが重要です。今のところ、ウイルスを消滅させる薬はありません。症状が出たら、できるだけ早く受診した方がよいでしょう。
  • 日常生活で注意することはどんなことですか?
    • 【症状が出ていないときの注意】 バランスのよい食事と十分な睡眠、適度な運動により、疲れやストレスを溜めないようにします。疲れているときや体調がすぐれないときは、強い紫外線を浴びる野外の活動は控えるようにして下さい。 【症状が出ているときの注意】 カサブタは取らないようにして下さい。人にうつさないように、水ぶくれに触れたら石けんを使って手をきれいに洗って下さい。タオルやコップは共有しないようにして下さい。
じんましんについて
  • じんましんとはどのような病気で、どのようにして起こるのですか?
    • 強い痒みとともに一時的に皮膚が赤く盛り上がってくる皮膚疾患です。赤みを伴う盛り上がった円形・楕円形または地図状の皮疹が生じ、ときどき環状になることもあります。じんましんの1番の特徴は、赤みや痒みは24時間以内に消え、普通の皮膚に戻ることです。 アレルギー性または非アレルギー性の何らかの原因により、皮膚の中のマスト細胞がヒスタミンなどの物質を出した結果、皮膚の血管が拡張し赤みや浮腫(膨疹)を起こします。また知覚神経が刺激されて痒みを生じます。
  • じんましんにはどのようなタイプがあり、原因は何ですか?
    • 発症後1ヶ月以内のものを急性じんましん、1ヶ月以上続いているものを慢性じんましんと呼びます。特発性のじんましんは直接の原因や誘因を明らかにできないもので、じんましんの中では最も頻度が高いものです。原因(背景因子)は、食物、薬剤、ほこりや花粉、細菌やウイルス感染、物理的刺激、内臓疾患、精神的ストレス、日内変動(夕方から明け方にかけて発症)など多くのものが考えられています。急性じんましんでは食物、薬剤、感染などが原因であることが多く、慢性じんましんでは物理的刺激による割合が多くなります。
  • 原因を突き止めるのにどのような検査がありますか?
    • 皮内テストや血液検査(アレルギー検査など)を行うことがありますが、これらの検査が陽性に出たからといって必ずしも原因とは断定できません。確実な診断には、原因と考えられるもので症状が再現されることを確認する必要があります。
  • じんましんはどのような内臓病変に伴ってみられますか?
    • 膠原病、慢性関節リウマチ、扁桃腺炎、蓄膿症、虫歯、腎炎、胆嚢炎、癌などでじんましんが生じることがあります。しかし、一般に思われているほど肝障害に合併する頻度は高くありません。
  • じんましんの治療はどうすればよいですか?
    • 1番に、抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤の飲み薬を使います。原因がはっきりしている場合はその原因を取り除くことが大事ですが、原因が特定できない特発性のじんましんでも、このような飲み薬で症状をコントロールすることができます。現在このような飲み薬は約20種類ありますが、効果には個人差があります。また、副作用として眠気や口渇などが起きる場合があります。効果と副作用のバランスを考えて、どの薬でコントロールできるか経過をみます。薬はすぐに止めずに継続することが大事です。
ニキビについて
  • ニキビのできかたとは?
    • ニキビは、はじめに面皰(めんぽう)という直径1~2mmの白っぽいブツブツができ、やがてそれが赤く腫れたり、膿を持ったりします。 顔に多い理由は、ニキビが顔にたくさんある皮脂を多く分泌する毛穴にできるからです。 赤く腫れてくるのは、毛穴にあるアクネ桿菌という細菌が原因です。
  • 日頃気をつけることはどんなことですか?
    • まず重要なのは洗顔です。朝と夕、スポーツの後などに洗浄液(液体洗顔料、石鹸など)でソフトに洗顔し、皮脂や汚れを洗い落とします。悪化因子になる習慣(顔にかかる髪型、頬づえ、ニキビに触る癖など)をやめ、可能な限り睡眠や食事を規則正しくとります。ケーキ、チョコレート、ナッツ類の食べ過ぎは一般にニキビを悪くするといわれています。毛穴を塞ぐ油性の化粧品も避けた方がよいでしょう。
  • どんな治療法がありますか?
    • ニキビの治療は、皮脂の過剰分泌や炎症を抑えることが主体です。イオウを含む薬は、脱脂、角質溶解、殺菌作用があります。最近では、抗炎症薬や合成抗菌薬などの外用が中心です。炎症が強い場合は、抗生物質の内服を使用します。場合によっては漢方薬の内服を使うこともあります。ニキビの治療薬は内服、外用ともに数種類あり、それぞれ効果には個人差があります。ニキビの状態・薬の効果をみながら、どの薬を使えばその人に一番効果が良いかを確かめながら治療をしています。ニキビの治療にはどうしても時間が必要です。長い目でみて、焦らず行った方がよいでしょう。
ステロイド薬について
  • ステロイド薬とはどのような薬ですか?
    • 腎臓の上にいろいろなホルモンを分泌する副腎という小さな臓器があります。 ステロイドはこの副腎から産生されるホルモンのひとつで副腎皮質ステロイドというのが正確な名称です。ステロイドは強い抗炎症作用があり、様々な病気の治療に使われています。 アレルギー疾患では、喘息には吸入薬として、鼻炎には点鼻薬として、結膜炎には点眼薬として、そして皮膚炎には塗り薬として使われています。
  • ステロイドを塗ると肌が黒くなるのでしょうか?
    • ステロイドの塗り薬を塗って黒くなったのではありません。皮膚の炎症が強く、痒くて赤くなっている部分にステロイドを塗り、改善したときに炎症後の色素沈着として黒く見えることがあります。この色は時間が経てば必ず薄くなります。切り傷の治りかけに一時的に褐色の色が起こるのと同じ現象です。
  • ステロイドを塗って日光に当たっても大丈夫でしょうか?
    • これもとくに根拠があるわけではありません。日光に当たって色が黒くなるようなことはまずありません。
  • ステロイドの副作用はどのようなものがありますか?
    • まず、ステロイドの内服・注射(全身投与)と、ステロイドの塗り薬(局所)に分け、それぞれ副作用が違います。まず内服・注射の場合は、顔が丸くなる、食欲増進、重い副作用になると白内障・緑内障、糖尿病、高血圧の悪化、骨粗鬆症などがあります。塗り薬ではこのような全身的な副作用が起こることはまずありません。これは塗り薬では皮膚を通して体内に吸収される量がとても少ないからです。したがって塗り薬では塗った部位の局所の副作用として、多毛、毛細血管拡張、皮膚が薄くなる、にきびができやすくなるなどがあります。 ステロイドは決して恐い薬ではなく、病気の状態、塗る部位、ステロイドの強さなどを使い分けます。とくに顔には決して強いステロイドを使いません。 患者さんによっては、それでもどうしてもステロイドを使うのには抵抗があると言われる方がいます。その場合は、患者さんの意見を尊重し、他の方法でできる限り対処します。
  • 妊娠中や授乳中にステロイドを塗っても大丈夫でしょうか?
    • 妊娠中や授乳中でも、体内に吸収されるステロイドはごく少量なので大丈夫です。 1日5g(チューブ1本)以内であれば、まず問題はないと考えられます。
帯状疱疹・疱疹後神経痛について
  • 帯状疱疹とはどのような病気ですか?
    • 身体の左右どちらか一方に、赤い斑点と小さな水ぶくれが、まとまって帯状に現れる病気です。皮膚症状だけでなく、神経痛のようなピリピリした痛みを伴うのが特徴です。どの年齢でも発症しますが、主に50~70歳代に多くみられます。通常は一生に1回しか発症しません。
  • 原因は何でしょうか?
    • 水ぼうそうのウイルス(水痘帯状疱疹ウイルス)に初めて感染すると水ぼうそう(水痘)になります。 抵抗力がついて水ぼうそうは治りますが、ウイルスは神経節に潜伏感染という形で残ります。体の抵抗力が落ちたりした時に、このウイルスが再び神経に沿って皮膚に水疱を作るのが帯状疱疹です。水ぼうそうにかかったことのある人なら、誰でも帯状疱疹になる可能性があります。
  • 他人にうつりますか?
    • 水痘(水ぼうそう)と同じウイルスなので水痘にかかったことがある人にはうつりませんが、水痘になったことがない人(乳幼児など)には水痘としてうつります。 帯状疱疹からうつって帯状疱疹になることはありません。
  • どのような治療をするのですか?
    • 治療の基本は抗ヘルペスウイルス薬です。抗ヘルペスウイルス薬は急性期のウイルスの増殖を抑える働きがあるため。発症のなるべく早期から使用を開始します。 内服薬、外用薬、注射薬の3種類があり、重症度に応じて使い分けます。 痛みの治療として抗炎症鎮痛薬を用いたり、神経ブロックを行うことがあります。 皮疹や痛みの程度によっては入 院が必要になる場合があります。
  • 帯状疱疹後神経痛とは?
    • 通常、皮膚症状の治癒とともに痛みも消えていきますが、その後も慢性的に痛みが持続することがあります。これを帯状疱疹後神経痛といいます。急性期の痛みは、皮膚や神経の炎症によるものですが、帯状疱疹後神経痛は、神経の損傷によるものです。帯状疱疹後神経痛が残った場合には、麻酔科によるペインクリニックなど専門的な治療が必要となります。次のような人は、帯状疱疹後神経痛が残る可能性が高くなります。(皮膚症状が重症、夜も眠れないほど強い痛みがある、60歳以上の高齢者)。

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